訪問時期:先日
日光の東照宮にはこれまで何度も通ってきたのだけれど、久能山東照宮を訪れたのは今回が初めてだった。同じ「東照宮」という名前を持つ場所でも、実際に足を運んでみないとわからないことは多い。どんな景色が待っているのか、少し楽しみにしながら向かった。
案内図で見た、山全体に広がる境内
境内に入る前、まずこの案内図で全体の配置を眺めた。本殿を中心に、拝殿・神楽殿・稲荷神社などがぐるりと山の斜面に沿って並んでいるのがわかる。図を見ているだけでも、これから歩く道のりの広さが伝わってきた。
1,159段の石段は想像以上だった
そしてこの写真こそが、今回いちばん印象に残った場所。とにかく階段が凄かった。見下ろすと、朱色の門をくぐってさらに階段が続いているのがわかる。段を数える気にもならないくらい続いていて、上り下りするだけで結構な運動になった。
あとで調べてみたら、久能山東照宮の表参道は16折・1,159段の石段で構成されているそうで、道理で長く感じたわけだと納得した。ちなみに日光東照宮の表参道は207段とされていて、比べると久能山の石段の多さが際立つ。何度も通っている日光とはまったく違う体力の使い方をした気がする。
門と軒下の彫刻に見た職人技
階段を上りきった先にあった門は、近づいて見上げるとその装飾の細かさに圧倒された。金色の彫刻と朱色の柱、両脇を固める狛犬。写真では伝わりきらないだろうけれど、実物を目の前にすると自然と足が止まる。
軒下の彫刻もじっくり見てしまった。金箔の輝きと、緑や朱で描かれた霊獣たちの表情まで丁寧に作り込まれている。こういう細部にまで手を抜かないところが、日本の建築の凄さなんだと思う。
久能山と日光、調べてわかった違い
帰ってから、なぜ久能山と日光で雰囲気がこんなに違うのか気になって調べてみた。両方とも徳川家康を祀る東照宮なのに、成り立ちも規模もかなり違うようだ。
| 項目 | 久能山東照宮(静岡) | 日光東照宮(栃木) |
|---|---|---|
| 創建の性格 | 家康の遺言に基づく最初の東照宮(創祀) | 家光による大造営・完成形 |
| 主な創建者 | 2代将軍・徳川秀忠 | 3代将軍・徳川家光(幕府総力) |
| 世界遺産 | 対象外 | 登録済み |
| 国宝・重文 | 社殿は国宝 | 国宝・重要文化財が多数 |
| 参道の石段 | 1,159段(山麓ルート) | 207段(表参道) |
| アクセス | 静岡駅+石段またはロープウェイ | 日光駅+バスなど |
こうして並べてみると、久能山は「家康が最初に葬られた原点の場所」、日光は「幕府の総力を挙げて完成させた象徴的な存在」という、性格の違いがはっきり見えてくる。今まで何度も通っていた日光がどういう位置づけの神社だったのか、久能山に来たことで逆に理解が深まった気がする。
階段の途中で振り返ったとき、木々の隙間から駿河湾らしき海が見えた瞬間があった。山頂に建つ社殿だからこそ味わえる眺めなのだと思う。日光は山あいの豪華絢爛な雰囲気だけれど、久能山は海と山を同時に感じられる、また違った趣がある。
まとめ
階段はさすがにきつかったけれど、上りきった先で見えた眺めは、その疲れを忘れさせてくれるくらいの絶景だった。日光の東照宮とはまた違う、山の斜面に築かれた社殿ならではの迫力がある。
今回歩いてみて改めて、日本の建築物は本当に素晴らしいと感じた。装飾の細かさ、色の使い方、そして山の地形をそのまま活かした配置。どれをとっても、作った人たちの本気度が伝わってくる。
階段の大変さも含めて、また違う季節に訪れてみたいと思わせてくれる場所だった。次は日本平からロープウェイで登るルートも試してみたい。